2026年5月18日 | 辛酸なめ子WEBコラム

特別エッセイ☆辛酸なめ子「尾道のエネルギー」

◎仙酔島へ

 仙人が酔うほど美しい島、仙酔島にいつか行ってみたいと思っておりました。黒・赤・青・黄・白の5色でできた「五色岩」があり、強力なパワーを発しているそうです。また、この島は日本で初めて国立公園に指定され、記念切手のモデルにもなったという景勝地。七福神や龍神様などの神々が鎮座し、上から見ると「亀」、横から見ると妊婦さんが横たわったような姿をしていて、別名「再生・復活」の島と呼ばれているそうです。さらにこの島はゼロ磁場でもあるそうで、情報量が多いですが、パワースポットの中のパワースポットといっても過言ではありません。仙酔島の自然に身を委ねると、 何のために生まれてきたのか気付かされる、とも言われています。
 ということで、仙酔島への期待を最高潮に高まらせながら広島へ。今回のエネルギーの旅は、仙酔島や尾道を訪れます。鈴木会長は福山市など周辺を何度か訪れたことがあるそうで「海の交易を通して発展してきた街です。海が近いので龍神はいらっしゃるでしょう」とおっしゃいました。
 藤井さんによると「鞆の浦から仙酔島を見たとき、パワーが出ているのを感じました」とのことで、遠くからもわかるパワスポのようです。

 鞆の浦からのぞむ仙酔島のなだらかなシルエットに癒しのパワーを感じました。その手前にある、神社が佇む弁天島も気になります。鈴木会長も「上陸したい」とつぶやかれていました。また、隣に「皇后島」という、神功皇后にちなんだやんごとない島もありました。今の天皇陛下が仙酔島に訪問されたことがあるとのことで、皇室とのゆかりのある土地のようです。
 鞆の浦の船着場から「平成いろは丸」に乗り、5分ほどで仙酔島に到着。なぜか一瞬小雨が降ったのは歓迎のサインだと受け止めたいです。着いてすぐ近くの浜辺に行くと、穴が開いていてくぐれるようになっている岩があり、岩の切れ目に一円玉が大量に挟まっていました。何かの願掛けでしょうか。私も思わずお金を挟もうとしたら「やめたほうがいいですよ」と、藤井さん。スピリチュアルなアドバイスかと思ったら、岩が傷つくから、というエコロジー的な観点だったようで、さすが波動高い系です。
 仙酔島にあるスピリチュアルな宿「ここから」の近くには、「龍の背中に乗れる」というふれ込みの龍神スポットがあります。その龍神スポットを目指して坂道を進んだはずが、中弥山に続く登山道に迷い込んでいて、道を間違えていました。でも、この山道も長い配管が通っているのが蛇か龍のように見えました。
 「龍神橋」は宿のすぐ近くにありました。橋を渡る前に目を閉じて大きく息を吐き出します。息を止めて橋を渡り、その先にある岩に乗って、願い事を心で唱えると良いそうです。三角形の岩は龍の鱗と言われればそんな気もしてきます。「でも、この下の道の方がパワーが強いですよ」と、藤井さん。言われてみるとここも龍の通り道のような感じがします。
 五色岩は海岸沿いにあり、それぞれの色の岩に触れたときの感覚で健康チェックができるそうです。冷たく感じたら、その色が司る五臓六腑が弱っている、ということになるとか。ぜひ試したいと思い、五色岩に向かったら、なんと通行禁止の看板が。2021年の台風以来、落石の危険があるため海岸線遊歩道は通行止めが続いていることが判明。去年解除されるという説がありましたが、伸びているようでした。鍵がかかった厳重なゲートが阻んでいてとても通れません。運動神経が良い鈴木会長や藤井さんは、横から乗り越えられそうでしたが「仙人に怒られるのであきらめましょう」ということに。大人の経済力で漁船をチャーターして五色岩に海から接近する案も出ましたが、さすがに当日に手配するのは無理でした。

 残念なことに、仙酔島の最大のパワースポットでもある、五色岩に行くのは不可能のようです。でも、この島は全体的に同じ成分でできているかもしれないと思うと、五色岩に限定しなくても良いような気がします。現に、船着場近くの岩も五色といえば五色、もしくはそれ以上の色数に見えてきました。また、砂浜近くのくぐり岩も強力なパワースポットのようで、この島全体、パワーが渦巻いています。藤井さんは、船着場の近くの岩からも、かなりパワーが出ていると教えてくれました。「ずっとここの岩に触っていたいくらいです。寄りかかってみたら気持ちいいです」。私もまねしてみたら、岩の突起がツボを押して気持ちがいいです。船が着くまでしばらく岩でチャージ。
 帰りの船からは、橋の向こうにチラッと五色岩が見えたような…。また、鞆の浦の海岸からも五色岩らしき黒や茶色の岩が見えました。これはもう五色岩を観光したといっても良さそうです。そして海岸線をかなりたくさん歩かないと着かない距離であことが遠目に見てわかりました。こうして眺めるくらいがちょうどいいです。鞆の浦の案内所「鞆てらす」のスタッフの女性にも「くぐり岩もミニ五色岩みたいなもので、人気のパワースポットですよ」と教えてもらい、心が慰められました。

◎尾道最古の艮神社

 尾道市のホテルに宿泊し、翌日はロープウェイに乗って千光寺にお参りする予定でした。「千光寺山ロープウェイ山麓駅」に行こうとしたとき、趣のある神社を発見。尾道で最古の神社といわれる艮神社でした。引き寄せられるように境内の奥へ。まず、視界に入ったのは癒しのパワーをほとばしらせている大きな楠でした。調べたら推定樹齢900年だそうで、幹も立派で葉が生い茂り、神社の守り神のようです。さらに奥には高さ3メートルはある巨石が鎮座していました。岩の頂にはしめ縄がかけられ、御神体のオーラを感じさせます。
 「おそらくこの神社ができるよりずっと前から、この岩は信仰の対象だったのでしょう」と、鈴木会長。岩に触って「結構パワーが来ています」と体感されていました。この岩は、触るとビリビリするので「ビリビリ岩」と呼ばれているそうです。たしかに心地よい刺激が感じられました。ちなみに鈴木会長は境内で巨大な犬のフンを踏んだのですが、「運がついた」と受け止めていて、ポジティブシンキングでさすがでした。しばらく運の微粒子が周囲に漂い、運のお裾分けをいただいたようです、
 しかし気になるのは神社の真上をロープウェイが通っていること。訪れる人にとってはありがたい乗り物ですが、神様はどう思われているのか気になるところです。こちらの神社では伊邪那岐命、天照大御神、素戔男命、吉備津彦命の四柱をお祀りしていて、地元の人の崇敬も厚いようです。近くの「猫横丁」という素敵なカフェを営んでいる地元の方に聞いたら、二代前の宮司さんが、地元の商店街を活性化させるためにロープウェイ駅をこの地に建てることを決断したそうでした。「神様は地元が栄えるためなら受け入れてくださる」と思われたとのこと。
 宮司の思いが通じ、尾道はノスタルジックな観光地として人気が高まっています。猫横丁はスタッフもスピリチュアルな方が集っていて、「尾道の岩山に呼ばれてきました」という女性もいました。尾道に連なる岩山のレイラインを辿ると出雲大社に行き着くと言われているそうです。尾道に群生しているクスノキを辿っていっても出雲に着くとか。また、近くの岩屋山神社は、神々が集まるときのポータルになっているそうです。霊道ならぬ神道が通っているのでしょう。このあたりは戦争で空襲に遭うこともなく、不思議と守られている地だそうです。
 猫横丁で飼われている猫たちにも癒されました。そして、尾道育ちの横山さんという方が、巨石をはじめ尾道の文化や歴史にとても詳しいとのことで、少しお話を伺わせていただきました。「実はこの近くに、北を守る玄武の形の岩を発見しました」とのことで案内してもらったら、亀の聖獣である玄武のような巨大な岩がせり出していました。
 「地元では亀岩と呼ばれています」と、横山さん。探究心旺盛な藤井さんは亀岩の近くまで険しい山を登っていき、ペトログリフがないか調査していました。岩を覆っている落ち葉などを片付けたら、何か出てきそう、とのことです。

 横山さんはかなりマニアックで、尾道についての自説をいろいろ教えてくださいました。「尾道の尾は何を表しているかというと、ヤマタノオロチの尾を切った場所への道を示しているんです」「イザナギとイザナミが国産みをしたオノコロ島も、尾への航路という意味で、この近くの向島なのではないかと思います」と、尾道伝説がノンストップでした。多くの人が土地について興味を持ち、探究せずにはいられないのが尾道の魅力なのでしょう。

◎千光寺へ

 尾道の主要なパワースポットの一つは、大宝山権現院千光寺。大宝山の中腹にあり、ロープウェイで登ることができます。この山自体が巨大な岩でできているのか、周辺には巨石や巨岩がゴロゴロしていました。岩がまるで迷路のようになっているところもあり、パワーを吸収できました。ほぼ登山道のような道を下り、お寺へ向かいます。尾道では足腰が鍛えられます。
 千光寺の境内では「鏡岩」という、かつて鏡のように反射して輝き、海上の船を導いていたという神秘的な岩も拝むことができました。お寺の売店の女性によると、かつて千光寺の巨岩の上に鎮座していた宝珠の光を反射していたそうです。電力もないのに不思議です。現代では電気の照明に頼りすぎてしまっていますが、昔は神々しい光が人類を導いてくれていたのでしょう。
 境内には、「鎖修行」ができる巨大な岩場もありました。「石鎚蔵王権現」が祀られている「くさり山」は、自己責任で鎖を足場に登ることができます。
 身体能力が高い藤井さんが登っていきましたが、途中かなり危険な難所があったとのこと。鈴木会長も途中まで登りましたが、無理をしないで降りて来られました。若者がお土産のレジ袋を持ったまま鎖を頼りに登っていくのを祈るように見守りました。こんなアトラクションまであるとは。千光寺も岩と一体化できるスポットです。
 岩場の疲れや緊張を癒してくれるのは、猫の細道と呼ばれる路地です。壁や階段には猫の顔が描かれ、猫が描かれた大量の丸い石「福猫石」も至るところにあります。体の気になる箇所を癒してくれる願掛けの福猫石もいて「パワーを感じます」と藤井さんもおっしゃっていました。
 しかし猫の細道で、リアル猫をいっさい見かけないのが残念です。仙酔島の五色岩もそうですが、行きたい、見たい、会いたいと欲の心が強くなると、逆に遠ざかってしまうのかもしれません。藤井さんは「仙酔島の土地自体がパワーが強いので、それだけでも十分です」と言っていました。鎖修行で達観されたようです。
 今回の旅を通してみると、五色岩以外、たくさんの岩や石に触れることができて、岩欲は満たされた感があります。地球という惑星自体、岩でできているので、直に地球と触れ合えました。岩は暖かくて優しいことが実感できて、静かな感動と岩ヒーリングの余韻に包まれた旅でした。