矢追純一、頑張らずに生きる知恵「ヤオイズム」をお届けします。

2020年12月 PH講習会 [東京]
エネルギー対談 矢追純一さん

2020年12月の東京講習会では、TVディレクターで作家の矢追純一さんをお迎えし、鈴木遙人TDI会長との対談が行われました。頑張らずに生きる智恵「ヤオイズム」に満ちたトークをお届けします。

◆矢追純一
中央大学法学部法律学科卒業後、日本テレビ放送網入社。日テレ時代は、超能力やUFO特番を制作し話題となる。現在は、主宰する「宇宙塾」の講義で、北海道から九州まで全国を飛び回っている。

◎若さのコツは

鈴木会長●矢追さん、今日はよろしくお願いします。まず簡単にプロフィールをご紹介させていただきます。PH会の会員さんで、初代山岸会長とも仲良くいろいろなことをなさって共著で本を出版されています。以前にも何度か講習会で講演していただいただけでなく、会員誌で連載を担当していただいたこともあります。1935年満州生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。1960年日本テレビ入社、『11PM』『木曜スペシャル』などの名物ディレクターとして、UFO、超能力、超常現象をテーマにした話題作を数多く手がけられました。同社を退職後もテレビ・ラジオの制作・出演、執筆など多方面に活躍中。「宇宙塾」を主宰していらっしゃいます。
 ちょっと失礼なことをお聞きしますけど、矢追さん、1935年生まれですよね。

矢追純一さん●はいそうです。85歳になります。

鈴木●初めてお会いしたのは20年以上前になりますが、当時から全然お変わりありません。その若さにはなにか秘訣があるのですか?

矢追●TDEのせいかも。

鈴木●ありがとうございます(笑)。矢追さんはPH会の伝授をシックススターまで受けていただいています。そのお元気さと変わらぬ見た目。TDEのほかに、若さの秘訣を一つ教えていただけませんか?

矢追●記憶がないことですね。過去というものは人間の記憶の中にしかありません。その証拠に、記憶喪失になると過去がなくなりますからね。僕の場合は、終わった瞬間から記憶を捨てている。

鈴木●捨てていらっしゃるんですか?

矢追●はい。幼い時からそういうクセがついています。とくにテレビ局で働いていると、次から次へとどんどん番組を作らなきゃならないから、一つのことにこだわっていられません。どんどん忘れないとどうしようもないんです。ですから、終わったらその場で捨てるクセがついています。自分が何歳だという記憶がないので、いつまでたっても同じような感じでいるわけです。

鈴木●ということは、現役時代、うまくいかないことがあったとしても、それをグジグジ考えたりなどは?

矢追●全くしません。だってうまくいかないことがありえないんですから。自分がやっているわけではありませんから。どこかからのエネルギーみたいな指令が来てやっているわけだから、うまくいかないはずがないんです。どんなことでもうまくいくに決まっている。今日もきっとうまくいくと思います。

鈴木●以前矢追さんにお目にかかった時に「講演に臨む時、なにも考えてないんだよ」とおっしゃっていました。

矢追●ええ、どんな場合でも前もって考えるということは一切しません。テレビの出演でもその場になるまではなにも考えていません。自動書記のような感覚です。
 例えばラジオでいうと、マイクの前に座るまではなにも考えていません。座ったらなにか話が出てくるだろうという感じです。

鈴木●初代山岸会長とのおつきあいは長くていらっしゃいましたよね。

矢追●よく飲みました。

鈴木●矢追さんの言葉で印象的だったのは、「山岸会長ってなんだか親父みたいなんだよな」っておっしゃっていたこと。山岸初代会長は矢追さんよりもずっと年下なんですけど。

矢追●そうですね。僕は9歳の時に父を亡くしているので、「親父」をあまり知らないんですよ。山岸初代会長とは一緒に飲んでいると、なんだか親父と飲んでるような感じがしちゃう。あの人ベロベロになるんですよ。それでそのベロベロの状態のまま帰っていくんですよ。そういうところが面白くてね。

鈴木●山岸初代会長は、昔のカミナリ親父みたいな感じがありましたよね。

矢追●そうですね。昔の親父そのものでした。一緒に出雲大社に行った時に「なんかここは感じるね」なんておっしゃっていたのを覚えています。

◎“まかせて”生きる

鈴木●もう一つ印象的な言葉として、矢追さんが伝授会にお越しになった時に私に教えてくださったことがあります。「鈴木さん、体験が一番大事だよ。それしかないよ」。頭で考えるだけじゃなく、体を動かして体験しろと。

矢追●知識には2種類あります。人の話を受け売りするのと、実際に自分でそれを体験するのと。
 本で読んだり、ニュースで見たり、人の話を聞いたり、先生に教わったりというような知識は、料理でいうとレシピみたいなもので、レシピを何十万種類も暗記したところで実際にやってみるまでは本当のところはわかりません。やはり自分でやってみるまでは本当の知識にはならないということを僕は経験上痛感しています。そういう経験に基づく知識がみなさんの脳のデータになるわけで、ただ読んだだけ、話を聞いただけの知識というのはデータになりえないんです。
 人の頭の中で、今までの知識を総動員させながら自分がこれから解こうとする問題について、一番効率のいい方法をひねり出す、これが考えるということなんです。経験が浅い人ほど、考えつくことが狭いんですね。

鈴木●そうですね。経験が浅ければ発想も狭いというか。

矢追●そもそもデータが足りない。パソコンでいうとデータ不足、さらにソフトを入れないと思うようには働かないというのと同じような状況に多くの人が陥っている。一旦わかっている気になるわけですよ。だけどそれは本当にわかったことにならない。したがってその人がいくら頭で考えたところで、良い結果が出てくるとは限らない。「計画的に考えなさい」ってよく親から言われているものだから、例えば2年間で100万円を貯めたいという時に、毎月いくらずつ貯金してボーナスの時にはこれを足して計算上ちゃんと2年間で100万円貯めるプランは立てられる。だけど実際は「今月はちょっと苦しいから余計に使って、その分はボーナス時に上乗せするか」みたいなことを言いながらだんだんグズグズになって、2年経っても100万円はおろか50万円も貯まらないようなことも多いんですね。これが自分の知識をもとにものを考えてなんとかしようとする人によくある悲劇です。物事の答えを求めるのに自分の知識だけを頼りにするなんて無理に決まっているんですよ。だから考えることはやめたほうがいいと思いますよ。

鈴木●それが「ヤオイズム」、矢追さんとしては「考えるな」と。それよりも体を動かし、五感を使って体験したほうが学びにもなるし自分自身にも落ちるし。

矢追●そうですね。「下手な考え、休むに似たり」です。お勉強が得意な人というのは、学校の成績はいいけれど、ほとんどろくなことを考えつかない。なるべく自分の経験を大事にしたほうがよくて、自分でいろんなことを考えたところで、ストレスになるだけのような気がするんですよ。記憶というものはないほうがいいんですね。

鈴木●記憶はないほうがいい?

矢追●はい。どうしても残しておかなければならないことは、「12月〇日に中野サンプラザで会う」などと書きとめておけばいいわけで、記憶する必要は全くありません。物事を覚えようとするのをやめると、とても気が楽になりますよ。記憶っていいことが一つもないんですから。過去を振り返れば、「あんなことをしなければよかった」など、反省ばかり出てくる。マイナス要因が多い。「いいことを覚えておいたらいいじゃないですか」と言う人がいるけれど、いいことだって覚えておいてあまり良いことがありません。人に自慢するだけ。「お母さん昔は美人だったのよ。モテたのよ」みたいな。「だからなに?」ってことになるじゃないですか。
 そういうムダなことを覚えているとストレスになります。それをもとに未来を設計しようなんて思うものなら、これまたストレス。どうせたいしたことない頭で未来なんか読めるわけがありませんから、それをこうしてああしてとかこねくり回していると、今の100万円を貯蓄する話みたいにグズグズになる。データが不足していますから当たり前の話です。自分ごときが偉そうにいろいろ考えたところでその通りにはならないぞという気がしています。
 ではどうするのかというと、考えるんじゃなくて勘で動くんです。どこからともなく湧いてくるインスピレーションというか。ほとんどの人が、勘で動いてるでしょう?「今からトイレに行こう。いやもうちょっと後にしようか」なんて、計算して行動する人はあまりいません。なんとなく立ち上がるか、立ち上がらないかだけ。日常生活なんてほとんどそんなもので、なんとなくなんですよ。なんとなく「あなたが好きです」とか、なんとなく「ひと目惚れしました」とか、理由があるわけじゃないですよね。だから考えることを捨てるとめちゃくちゃ楽になります。

鈴木●それが「ヤオイズム」の本質ですね?

矢追●「ヤオイズム」をひと言で言えばね、努力しないで、勉強しないで、一所懸命やらないで、ラクして生きる。

鈴木●先日、久し振りに矢追さんにお会いした時に伺った言葉で、「“自分”なんて大したことない。大いなる叡智とか、そういった情報やインスピレーションに全てまかせる」というのがとても響きました。

矢追●その通りですね。一個人はどんなに頭がよかろうと大したことを考えつくはずがないんですよね。対する相手は世界全部ですから、頭がいいヤツもいるし、考えるヤツもいるし、いろんなヤツがいるわけですよ。自分の考えたことで対抗できるかといえばとても無理です。無理なものを考えるのはアホというもの。従って考えるのはやめたほうがいいです。

◎自分は宇宙のエネルギーそのもの

鈴木●ご著書『ヤオイズム』から少しご紹介しましょう。「そもそも自分の力などたかが知れている。自分の力だけでなにかことを成し遂げようとするのは土台無理なことなのだ。あなたは宇宙に生かされてるのだからその宇宙の流れに素直に身をまかせればいい。そうすれば自然にうまくいく。ゴールを決めたらなにも考えず、全てまかせきってのんきに待っておけばいいのだ」と。

矢追●僕はその通りだと思って生きてきました。だからラクなんです。価値観の問題だと思うんです。「イヤな会社でイヤな仕事だけど、我慢して仕事してないと生きていけない」なんていうのは、自分が一方的に決めるだけの話で、実際にはそんなことはあり得なくて。僕は、会社なんてほかにもいくらでもあるし、仕事もいっぱいあるわけだからそこに固執する必要はないと思うんですが、そう考えられないのは常識というか、ある意味、陰謀によるマインドコントロールのせいだと思っています。
 コントロールする側、仕切る側が、我々一般ピープルをどのように仕切っていくかを考えた時に、なるべく自由度を減らし、思考停止に追い込んで、めちゃくちゃ働かせるわけです。後ろからひっぱたいて働かせるみたいな、そういうことを考えているらしい。僕らがこれまでに受けてきた教育、つまり幼稚園から大学院に至るまで、みんなその路線に乗っています。それを常識として「科学的」と称して頭から信頼するとすぐ老けちゃいますよ。
 そういうことは参考程度にしておいて。常識に則った生活をするなどということを本気で考えないほうが、多分ラクに生きることができます。

鈴木●『新月のハピネス手帖』なども、 そこに自分が願望を書き入れて、書いたらそのまま、まかせちゃうじゃないですか。書いてイメージしたらあとは忘れちゃう。要するに叡智にまかせるということです。

矢追●皆さん含めて、僕ら一般ピープルは、本来生まれついてのものすごい才能というか能力を持っているんです。多分無限の能力を持っています。でもそれをいかにして発揮できないようにするかというのが、現行の教育というものです。だから虚心坦懐に、自分に頼ればどんなことでもうまくいくし、わからないことはなんでもわかります。
 わからないことは人に聞こうとする、これがいけません。人に聞いてその答えを信用するのかというと、実はそうでもない。ムダなんですよ。よく僕は「矢追さん、宇宙人は本当にいるんですか?」と質問を受けます。僕が「いるよ」と言ったら納得するでしょうか。「ああ、そうですか」って言って家に帰ってまた考えるに違いない。「あいつの言ったことは本当かな、嘘かな」って。「いないよ」って言えばそれはそれでまた、「本当にいないんだろうか」と悩むわけです。だから人に聞くのはムダです。自分に聞くことです。

鈴木●自分に聞く。

矢追●そう。つまり、自分が宇宙のエネルギーそのものですから。
 自分が信じられないという人が多いです。これはそのような教育を受けたからです。親にさんざん「バカだね、この子は」と言われたから、「自分はバカなんじゃないかな」と思っちゃう。だけど、本当はなにも聞かなくても、自分が全部知っているはずなんです。もともと人は宇宙と一体だから。だから人に聞くのをやめて、自分に聞くのが本当はいいんですけども、大部分の人が自分よりも上のものをなにか設定したいわけなんです。自分のことはよくわからないけれども、自分よりもはるかに上の人だかモノだかに頼って生きるほうがラクだと思っているらしいんだよね。
 これがもう180度間違っているわけです。本当は、自分以外に信じられるものってありません。親子といえども信用おけないからね。いざという時は殺されるかもしれないんですから。
 誰もがなにか神のようなものを求めています。全知全能でどんなことでもちゃんと解決してくれるんじゃないか。神社に行って手を合わせて拝めばそれが叶うんじゃないかという儚い望みを持っているわけですよ。そういう大きな存在を、仮に「神」と呼ぶとしましょうか。ならば、「神」は自分の中に住んでいると思うことです。

鈴木●なるほど。

矢追●自分の中に住んでいる神に聞けばいい。どうしたらいいだろうか、これからどういう風に生きていけばいいだろうか。みんな自分の中の神に聞くとそいつが答えてくれる。それが、今鈴木さんがおっしゃったみたいな、宇宙の天命に沿って生きるということになるわけです。ですからもっと自分の中にいる神を信じて、言い換えれば自信を持って、100%自分を信用しながら生きていくということですよ。常識的なこととかそういうことはどうでもいいから、こうしたいああしたいと思うことを生きている間にやることだと思います。
 誰も、自分がいつどこで死ぬかは知りません。その程度のヤツがいくらものを考えてもムダなんですよ。「定年になってから、妻と一緒に世界一周するのが楽しみで貯金している」と言う人がいるけれども、あなたそれまで生きているかどうかわからないんだよと。1年後に死ぬかもしれない、1分後に死ぬかもしれない。道を歩いていたら後ろから車に跳ね飛ばされることもあるわけだからね。明日をも知れぬ身なのですから、死ぬまでにあとどのくらい残された時間があるのかと考えてみると、恐ろしいほどありません。4歳、5歳の子ならばいざ知らず、ここにいらっしゃる皆さんは、もうかなり生きていらっしゃって、峠を越えてしまっていますからね。
 あとどのくらい生きるかがわからない上に、一日のうち半分くらいは寝ているか、トイレに行ったり食事したり、生理的なことをやっているわけです。残りの12時間のうち、8時間働くとすると、自由時間は4時間しかない。それだって、電話がかかってきたとか、宅配便が来たとか、所用でどんどん消えてしまいます。だからあなたの残りの時間はほとんどないに等しい。ほとんどないところでイヤなことを我慢していたらその分また損をします。残り時間があとどのくらいあるかという問題なので、その中で自分ができるだけイヤな思いをせず、楽しい思いをしながら死ぬまで生きたいと思うじゃありませんか。ということは、お金のために我慢するとか、義理のために我慢するとか、家族のために我慢するとか、そういうことは全部やめたほうがいいです。

◎主観でできた世界

鈴木●『ヤオイズム』の中でも、みんな執着がありすぎるとご指摘なさっていますね。それで幸せになれないし、今を生きることができないと。矢追さんご自身は、起こることが全て楽しいと書いていらっしゃいます。楽しく生きるコツはありますか?

矢追● 一つの方策として、自分は火星から来たと思えばいいんですよ。

鈴木●火星から来た?

矢追●そう、自分は火星人。地球のことはよくわからない。地球は面白そうだなと思って、人間の体の中に入り込んでみた、それが自分だと捉えてみたらいい。すると見るもの聞くものが初めてですよ。 本当はそうなんだけど、なんかわかったつもりになりたいものだから「矢追さん、それは僕知っています」って言うんだよね。そんなになんでもかんでもわかっているフリをしたって、結局は何一つわかっていないんだから、火星人のように「ああ地球ってこうなんだ」「人間ってこうなんだ」、今日のようなこういう集いも「集会するとか、話をするとかこういうことなんだ」という風に初めての体験として受け止める。これはめっちゃ楽しいです。
 どんなことだって初めてに違いないんですよ。前にまったく同じことを体験したことはないんだから。我々が住んでいるこの宇宙や地球では、同じことは二度と起きません。明日のこの時間にこの場に同じ席に座っても、もう今とは違います。同じことは二度と起きないということが原則なので「前にそういう体験をした」ということもほとんど意味がありません。だって“前”と“今”とは違っていますから。そういうことから言うと、“科学的”というのはくだらないんだよね。同じ実験を何度もやらなきゃいけないんだけど、同じ実験になるはずがないんです。ですから、科学的なものの根底はすごく面白くて揺れている。特に量子論になるともっとわからなくなります。

鈴木●スピリチュアル系でいう量子論は、自分が見た瞬間に物事が決まって、見ていないときはその現象がないなど、そういう意味では自分ありきですよね。

矢追●そうです。あくまでも自分が生きているから周りが見えているのであって、死んだらこれありませんからね。月は毎晩空にかかると言うけれど、人によって青白かったり、黄色かったり違って見えていますよ。その月を見る人が1人もいなくなった時には月があるかどうかすらわからない。これは言い換えると、客観はなくて全て主観なんです。自分が見ているから月は存在する。自分が見ているから地球はある。自分がいるから宇宙というものはどういうものかという概念が自分の中にはある。
 これを突き詰めていくと、自分自身の世界を皆がそれぞれ生きている。他の人の世界には入り込めません。自分がこの世界を見てこの世界はこういうものなんだと認識したけれど、別の人から見ると別の世界が見えているわけで。ということは自分自身が見た世界が世界であって、客観的に誰が見てもそうっていうものは存在しない。だからみんな、自分が見たり聞いたりしたことが基本になって自分の概念ができていて、ありとあらゆるものが全部その概念の中にあるわけだから、自分自身が作り上げた世界の中に自分がひとりでいるわけです。他の人はわかりません。となると、一人ひとりが自分の世界を持っているわけだから、77億人いる地球上には77億通りの世界が多重に存在しているわけですよね。量子論的にはそういうことになります。
 もっと言えば、自分が自分で作り上げた世界に生きているとすれば、それをドラマだとすると、その脚本は自分が書いているし、演出しているのも自分。しかも主役も自分。全部自分なんですよ。自分がいないとなにも始まらないわけですよ。この世界も宇宙もありません。自分が作り上げた世界の中に自分が生きているわけだから、自分の思い通りになるはずなので、「この先どうしよう、ひどいことになったら大変だわ」なんて取り越し苦労していると、そのようになってしまいます。
 言い換えると、都合のいいことだけ考えてればいいんです。「全部うまくいく」と。「私が思う通りに、全部がうまくいく」と能天気に考えたほうがトクです。ダメかもしれないと思うと必ずダメになってしまう。
 不思議なことに、そういう原理なんですね。自分が見た目で作っている世界の中に自分がいるからです。ある人には「世の中は厳しい。毎日緊張して生きていかないととんでもないことになるかもしれない」という世界観があって、別の人は「世の中、結構チャラいんじゃないの? まぁ毎日呑気に過ごせるんだからそれでいいじゃん」という世界観があって、いろいろな人がそれぞれ違う世界を生きているわけじゃないですか。だから、楽観的にうまくいくと思っているほうがトクです。
 僕は小さい時からうまくいかないと思ったためしがありません。なんでもうまくいくに決まっているんだ、自分の中では。これは今言ったようなちょっと難しい原理に則っているわけではなく、自分自身に全幅の信頼を置いているので、「僕だったらなんとかちゃんとやっていけるよ」といつも思っています。自分の思ったことは全部その通りになると信じているわけ。それだとすごくラクなんですよ。

鈴木●多くの人が自分に自信を持てないのはなぜでしょう?

矢追●僕は、それは陰謀だと思っているんですよ。つまり、世の中を仕切ろうとする人が、仕切られる側をいかにコントロールするか。もしも皆さんが仕切る立場に立ったとしてみるとわかるんじゃなでしょうか。皮膚の色が違うし、生まれた場所も違うし、受けてきた教育も違うし、なにもかもが全部違う77億人の人間を、どうやってうまく管理するのか。多分あなたは、一般人に対して特別な教育をするしかないなと気がつくと思います。その特別な教育の一環が「自分を信じさせない」ということなんですよ。

鈴木●なるほど。

矢追●自分を信じるヤツが出てきて、「誰になんと言われようと俺はこう生きるんだ」というヤツばかりになると、コントロールできなくなりますから、お上の言う通りに生きる人ばかりにしたいわけじゃないですか。だから自信を持たせないように注意深くいろんなシステムを組み込んでいるんだと思います。その片棒を担いでいるのがマスコミです。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、最近ではSNSも含めてね。そういう仕組みになっているんですね。それに乗っからないようにしないとソンしちゃいます。

鈴木●最近では新型コロナも凄まじいですね。

矢追●今僕らは、人類全体として、非常に大きな変革の時期を迎えていると思うんです。そこにあなたがいて、見ることができるというのはある意味ラッキーなんですよ。千載一遇のチャンスだと思います。

鈴木●矢追さんが、戦中戦後、様々な厳しい状況を生き抜いていらっしゃった中での学びは、もうまかせると。それから自分自身を信じていくということが大事だということですね。

矢追●自分にまかせるしかないですね。

鈴木●自分にまかせるということは、「ヤオイズム」の考えを持ち、それからエネルギーを使うこともつながってくるのではないでしょうか

矢追●そうですね。手っ取り早いのは、PH会の伝授を受けることでしょうね。そうするとなにかとつながるようになりますから、それが一番お手軽だと思います。
 自分の考えで生きていこうとするのをやめて、もっと大きな流れ…バイオリズムが個人にあるのと同じように集団のバイオリズムがあって、日本のバイオリズムもあるし、地球のバイオリズムもあるし、宇宙のバイオリズムもあるわけで、それぞれ大きな川の流れの中でいくつかの流れになっているわけです。その大きな流れの中でまかせてしまったほうが、自分ひとりで泳ぐよりはラクなんですよ。
 ですから自分で生きていこうとするのではなく、大きな流れにおまかせしちゃうということが一つの秘訣かもしれません。その時に中途半端にまかせるのはいけません。思いきってまかせてきってしまう。
 たとえば神社で、お賽銭を放り投げて、あれもこれもといろんなことを頼んじゃう。頼んでおきながら、一方では自分でなんとかしようと方策をとるというのは、神様からしたら面白くないでしょう。「あなたにおまかせします」と言っておきながら、自分でごちゃごちゃやるなんて。ですから、自分の中にいる神が設計してくれている路線を、そのままずっと行けばいいんだと思います。
 言い換えると「待ち」なんです。待つ。自分にいろんな質問をしてもすぐに答えは返ってきません。どのくらい時間が経つかはよくわかりませんが、ある時ひらめくんですよね。「あの答えはこれだ」と気付くはずです。そこまで我慢しないとね。最近の人はテレビのクイズ番組に毒されているようで、なんでもかんでも質問するとすぐわかりやすい答えが現れると勘違いしている。でも、物事はそういう簡単なものではありません。

鈴木●矢追さんが今おっしゃっていたのは、「まかせる」前提として、自分はこうしたいとかこうなりたいとかのゴールを決めて、その途中経過はあれこれ悩まない。ゴールを決めたら後はまかせるということですよね。

矢追●さすが鈴木さん、そうですね。どんなゴールでもいいんです。これから先の人生を、自分はどのようなコンセプトで生きていくか。どういうモットーで生きていくかという方針だけは、決めたほうがいいです。そうでないと、自動車を運転していても行き先がわからないと不安でしょうがない。ハンドルの操作も知らないし、アクセルとかブレーキとかわからないまんま、走っている車に乗っているような状況だから、行き先だけでも決まっていると、「まあなんとか行き着くところがある」と安心していられます。ですから、まず自分の今後の人生はこういう風に生きていきたいという方針だけを決めて、決めたら忘れちゃうことです。覚えていると毎日毎日それを思うから。「今日もダメだ、昨日もかなわなかった」と“ダメだ”で生きるのはよくない。だから忘れちゃうのが一番いい。幸せは忘れた頃にやって来るんですよ。
 どんなモットーでもいいんですよ。自分のことですから、別に道徳的でなくても構いません。僕の場合は図々しいんですよ。「あまり働かないで、仕事をしないで、ボーッとしながら、食うに困らない」というのが僕の決めた方針だから。そしてその通りになっています。まかせるとこうなるんです、当たり前だけど。

鈴木●『新月のハピネス手帖』も同じで、書いたら放っておいて書いたことに執着しない。すると回りまわってそれが実現する。私は3年ぐらい同じことを書くことがあるんですが、実現しますよ。矢追さんがおっしゃったように、すぐには来ないけれど、書いて忘れる、書いて忘れる、それを繰り返すと引き寄せますね。

矢追●あと、一所懸命はダメです。そういう教育を受けてきたから一所懸命になりたがるけど、書いたことに対して「なんとか叶ってくれ」とやればやるほどに力が入りすぎて、ダメになるんですね。だから忘れたほうがいい。PH会のトリートメントも同じで、気の毒な方がいると、「この人をなんとかしてあげたい」と思うじゃないですか。「なんとかして」がダメなんです。適当にやっておけばいいんですよ。

鈴木●「自分が」なんとかできると考えるのではなく、エネルギーにまかせるということですよね。

◎トリートメントが大きな自信に

鈴木●冒頭でもご紹介しましたが、矢追さんは「宇宙塾」を主宰されています。「宇宙塾」ではどんなことをしていらっしゃるんですか?

矢追●開講は隔週土曜で、受講者には全部で29時間、適当にその空間に座っていただきます。それでテレパシックに情報を流すというか、部屋全体に目には見えない心地よい温泉をみたいなものを張り巡らしています。その温泉に必要な全部情報が入っていて、受講する方はそこに浸かっているだけでいい。それで情報が自分のものになるんです。だいたい、来るとみんな気持ちよくて寝ちゃうんです。寝ていても構いません。体にはちゃんと“温泉”の効用が届いているから大丈夫。
 やっている内容としては、今まで皆さんがせっかくお勉強してきたことをまず全部外します。それがきれいに外れてしまえば、人を癒やせるヒーリングもできるようになりますから、そこで自信がつくんです。
 いざという時になにかしてあげられることを持つということは、ものすごい自信につながります。一般の人は、いざという時に親切ぐらいしかできませんから。
 こうしたことを一つの道楽みたいな形でやっていましてね。「ただ座っていればいいよ」と言うんですが、「何時間も黙って座っているのはイヤです」と言われるから、僕がしゃべっています。ただし、しゃべるのはあくまでもサービス。だって言葉は情報を伝えるのにはすごく不便ですから。どういうことかというと、言葉を発している人と受け取る人とでは、同じ言葉でも概念が違っている。一つの言葉に対するイメージが、一人ひとり違っているので、みんな微妙に違って受け止めちゃうということです。ですから、例えば「リンゴ」を伝えようとする時に、しゃべるのは皮だけぐらい。あとの情報は“温泉”のお湯で流しておきます。
 とはいえ、しゃべる内容も今までみなさんが知らなかったようなことばかりですから、目から鱗がバラバラ落ちるんですよ。目から鱗が落ちた人が翌日からその気になって生きていくと、周りの人と合わなくて浮いてしまいます。それまでの社会の中で働けなくなってもいけないので意図的に隔週で実施しています。ここで鱗を落として、翌日からシャバに戻って周りと合わせて今までの生活をして、2週間後にここへ来て、また目から鱗が落ちてということを繰り返すようにしてあります。

鈴木●「宇宙塾」で究極のサバイバル法として「SEヒーリング」があります。PH会で言えばトリートメントですよね。ですから矢追さんは著書の中でも「ヒーリング、人に対してエネルギーを送ってその人を変化させることができるのはすごい」とおっしゃっています。
 今日皆さんも、ここでトリートメント実習されたと思いますが、「トリートメントで始まってトリートメントで終わる」というくらいエネルギーの世界では基本であり、究極です。「宇宙塾」ではどんな感じでヒーリングをされているんですか。

矢追●僕は自分が怠け者で、仕事をしたくないし働きたくない。だから技法みたいなものも大変そうなのはイヤだなと思っていて。
  例えばマッサージや整体などは覚えなきゃいけないことが山ほどあります。人の体にある何百というツボを覚え、そこを数ミリも違わないように押していかなくちゃいけない。それはとても大変だから、もっとアバウトでいいんじゃないかなと思って。イメージだけで全部取り出して、「よくなった」と思うわけですよ。簡単なことを言うと、胃なら胃をイメージで取り出して、ハサミでチョキチョキ切って中を広げて丁寧にクリーニングして、きれいに縫ってから戻すみたいなことを全部イメージでやるような感じです。

鈴木●PH会で言うトリートメントや調整法も似ていますね。

矢追●トリートメントと同じです。PH会のトリートメントに随分教えていただいたから。あれは大事です。トリートメントの技法を知っているだけでものすごい自信になりますよ。
 どうか皆さん、TDE能力を大事にしてください。TDEは生きていく上でのいいものを全て含んでいるので『エルビードヌエボ』でTDE能力を獲得しただけでも普通の人とは全然違っています。その上であと、トリートメントもあるし、いろいろなエネルギーの使い方がありますけども、そのうちにだんだん自分なりのやり方もできてくると思います。まず、TDEに縁があったことはラッキーだったんじゃないかなとか思いますよ。知らない人は知らないんですから。またせっかく出会えても「お金がない」「時間がない」などと言って講習会に来られない人もいらっしゃるわけですから、ここにおられるだけでもラッキーだと思うわけですね。

鈴木●今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。